スペシャリストたちの役目!
ここで、機長(操縦士)、整備士、運航管理担当者(CS:コミュニケーションスペシャリスト)の主な役割を尋ねてみた。
CSは、現場からの出動要請の窓口。消防、病院からの出動要請ホットラインを受けて、操縦士、整備士、医師、ナースなどへ出動を指示するとともに、ヘリが飛ぶ際のフライトプラン(飛行計画)や出発、到着時刻を航空局(国土交通省)へ通報する役割も担う。また離陸後に無線で着陸場所をヘリに連絡するなど、一刻も早く患者のもとへ行けるように地上からヘリの動きをサポートする。
ヘリに同乗し操縦士と医師、ナースのアシストを行うのが整備士。飛行前の地上ではヘリの点検を行う。ライセンスを持つ整備士が飛行前点検を行わなければヘリは飛び立つことが出来ない。飛行中は離着陸時の安全確認や見張りを行い、現場に到着した際には患者を乗せるストレッチャーの操作を行う。ちなみにこのストレッチャーは、ヘリに乗せられる仕様に改修されてあり高価なものであるとのこと。
機長(操縦士)は、運航管理室に設置されているホットラインに出動要請が入ると直ぐに出動し、ドクターとナースを現場へ安全にいち早く届けることが大きな役目となる。そのため操縦士は、天候の変化を常にチェックしている。
チームワークでつなぐ『命のバトン』
ドクターヘリの現場は操縦士、整備士、CS、医師、ナースたちの活躍だけで成り立っているのではない。救急隊員は現場での的確な判断と処置をし、そして現場へ向かうヘリの医師に患者の容態を正確に伝えなければならない。また、ヘリが安全に現場へ着陸できるよう消防隊は安全確保と砂ほこりを防ぐための散水を行う。着陸場所付近に民家がある場合は騒音に対する理解と協力の要請も行なう。
今回、ドクターヘリ基地の取材を終え、現場の方々が一番伝えたかった事は、ドクターヘリに関わる大勢の人たちが共に支え合いながら、尊い一つの命を救っているという事。
今この瞬間にもどこかで命のバトンの受け渡しが行われ、人命が救われている。 |
ヘリで内部に積込まれた医療器材
ヘリ後部からストレッチャーを取り出す整備士 |