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■アイアンズマン
Ladder Co.(はしご車隊)の構成員の1人。はしご車隊の主な任務の1つである『換気(Ventilation)』を行う。チェーンソーやアックスを持ち、窓や屋根に穴を空けることを主な任務としている。Vertical
Ventilationと呼ばれる換気では屋根などに穴を空け、Horizontal Ventilationと呼ばれる換気では壁や窓に穴を空ける。熟練の隊員は屋根に30cm四方の穴をアックスで空けるのに、数分しかかからないという。火災現場の初期段階で活躍するユニットだ。
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■Alarm
火災規模の大きさを表す単位として使われる。規模が大きくなると“ファースト・アラーム”“セカンド・アラーム”と数字が上がっていく。州や各都市により制度が異なるため、決まりは無いが、1つアラーム数が増えるとエンジン(ポンプ車)1台または2台、ラダー(はしご車)1台、救急車1台が増える。1993年2月26日に起きた有名な“ワールドトレードセンター爆破事件”では60台以上のエンジンと50台以上のラダーが出場した。FDNY史に残るアラーム数を記録した。
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■EMS(救急隊)
各消防署に所属する救急隊の総称で一般に見かける救急車の殆どには彼らが乗っている。その他に、法人経営の救急サービスや病院に直接属している救急車輌などもあるが、これらは全体から見るとごくわずかでしかない。
EMSはEMT(救急隊員)から構成される。さらにEMTはBLS(Basic Life Support=一次救命処置)と呼ばれる基本救急医療資格者とALS(Advanced Life Support=二次救命処置)と呼ばれるより高度な救急医療資格者とに分かれる。BLSにはCPR(Cardio Pulmonary Resuscitation-心肺蘇生法の意)や出産処置、止血処置等の講義内容が含まれ、ALSではさらに専門的な講義が行われる。ALS資格保持者が やParamedicと呼ばれる救急救命士になる。一般に日本の消防署と同様にEMSは消防署に属している。消防隊員からEMTに転身する消防士も少なく ない。
BACKDRAFTで有名なCFD(Chicago Fire Department)では、全ての消防士がEMTの資格を持っている。火災・事故現場から病院までの移動中にいかに迅速、且つ正確な処置をできるかがけ が人の救命率を上げるための課題である。そして、EMSの努力とめざましい活躍により救命率は上昇してきている。
EMSのシンボルはスター・オブ・ライフと呼ばれ、ユニフォームや救急車両にはすべてこのマークが付いている。このスター・オブ・ライフの星形の中に描かれているマーク(蛇が巻き付いた杖)は、一般にアスクレピオスの杖として世界的に知られている。
アスクレピオスとはギリシャ神話に登場する医療の神で、神話の中では死者に至るまで蘇らせる事が出来るほどの医療技術を持っていたという。そのアスクレピオスが持っていた杖がスター・オブ・ライフの中に描かれている。
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■EMT讃歌【訳詩】
その命を受け出動するとき、EMTの行為は人間の尊厳そのものとなる。
任務は過酷を極め訓練に何年もの時間を費やす彼等に喝采のステージはない。
守るべき人たちに男や女、まして肌の色に垣根さえなく、友愛の情を持って奉仕するのみ。
頼もしき兄弟の消防士や警察官と手を取り合い、多くの人たちと社会のために任務を遂行し続ける。
生命の危機に晒されている人々にとって、迅速且つ正確なEMTの救助活動ほど頼もしいものはない。
EMTがいつも考えているのは人命救助、混沌としたこの時代に与えられた天職として。
それは愛のなせる業…誰にとっても明白だ、必要なときにはいつもEMTはすぐそばにいる。
【原文】
THE EMT
The EMT reflects the value of a humane deed, When called to serve
another's hour of need.
Their missions are grim and training takes years, Expecting no fanfares
and, least of all, cheers.
No restraints on gender or the shade of one's skin, They're a dedicated
group and fraternal within.
They work in concert with their firefighter brothers, Serving the
community, and often...many others.
Their movements precise; tending a victim is swift, When lives are
in peril, their mere presence is a gift.
Unique is their concern for saving a life, A God-given calling in
this age of apathy and strife.
It's a labor of love...that's plain to see, Always there when you
need them...the EMT.
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■EMT(Emergency
Medical Technician)
EMS(Emergency Medical Service:救急隊)の大多数を占める隊員の名称。
Basic Life Support(略称:BLS)と呼ばれる救急医療の基礎とも言える技術を習得することでEMTになることが出来る。もう1段上のレベルがParamedic(救急救命士)で、Advanced Life Support(略称:ALS)を修めたものがなることが出来る。災害・事故現場で止血などの応急処置をすること、救急車内で搬送中の処置をすることが主な任務となる。映画『バックドラフト』で有名になったシカゴ消防署(CFD)の消防隊員の全てはEMTの資格を有している。
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■イーグル
アメリカ合衆国の国鳥でもあるイーグル(ワシ)は、勇気と威厳のシンボルとして知られている。消防の世界でもこのイーグルは階級を表すシンボルとして使用される。消防幹部が付ける階級章の上部に羽を広げた雄々しいイーグルを見ることが出来る。これは消防幹部に与えられた権限を象徴している。そして、広げた翼は博愛と防護を、クチバシと足の爪は規律の維持を象徴していると言われている。
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■NFPA
NFPAはNational Fire Protection Associationの略称で、1896年に設立した非営利組織である。科学的検証を基に、火災やその他の危険物から人命を守るための基準を設定し、教育・訓練・調査などを行っている。現在、アメリカにある一連の消防関連基準の中では最も厳しい内容になっている。そのため、防火素材などの製造業者にとって、NFPAの基準をクリアすることが販売戦略上、大きな意味を持っている。
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■NBC
Nuclear(原子)、Bio(生物)、Chemical(化学)の頭文字をとったもの。
兵器として危険きわまりないものの総称。兵器だけでなく我々の身の回りにもこのNBCに相当する危険物が数多く存在する。これらが何らかの事故や事件を契機に漏洩することになると、危険物処理のエキスパート、ハズマットに出場司令が下る。
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■FDNY:Fire
Department of New York(ニューヨーク消防署)
アメリカ合衆国、第1の都市ニューヨーク市を管轄地とするニューヨーク消防署の略称。
一説によると、映画『Backdraft』の舞台は当初このFDNYで構想されたそうだが、FDNYが協力を拒んだ為、CFDが実際の映画では使われたそうだ。ニューヨーク市の人口は約800万人で消防吏員は約11,200人。
Engine Company(ポンプ車隊)は203隊、Ladder Company(はしご車隊)は143隊、大隊は49隊、最大の部隊であるDivisionは9隊ある。1998年度にトータルで出場した回数は約100万件。その内ファイヤーコールは約22万件。
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■FDNYレスキュー
世界に誇る大都市ニューヨーク。この人口のるつぼを災害や火災から守るのがFDNYの使命だ。そして、その組織の中にFDNY RESCUEと呼ばれる救助活動のプロフェッショナルがいる。
周知のようにニューヨーク市は5つの区から成る。その各区に1つずつのRESCUEユニットが配置されている。管轄は以下の通り。
RESCUE1:マンハッタン全域。特にマンハッタンの中部・南部。
RESCUE2:ブルックリン全域。 RESCUE3:ブロンクス全域とマンハッタン北部。
RESCUE4:クイーンズ全域。
RESCUE5:スタッテンアイランド全域。
※RESCUE1、2、5の隊員たちは、スキューバ・ダイバーの訓練を義務とし、ニューヨーク市内で起こるあらゆる水難事故に急行する。
※RESCUE3には、Collapse Rescue Truckがあり、あらゆる建物倒壊の危険のある現場に急行する。
FDNYが救助技術に精通した人員の必要性を認識したのは、1912年に起こった火災の時だ。火災の起こったビルの地下に銀行員たちが閉じこめられ、そのうえ、ビルが倒壊したため行員たちは生き埋め状態になった。この時の救出作業は困難を極めた。 そして決定的だったのが、1915年、ラッシュアワー時に起きた地下鉄火災だった。700人以上の人が煙と共に地下に閉じこめられた。この時の救助作業も困難を極めた。この事故を契機に、特殊救助技術を持ったレスキュー隊の設立が決定されたのである。 1915年1月18日、RESCUE1が組織され、同年3月8日から活動を開始した。隊員には土木技術、機械技術に明るい消防士が選ばれた。ここに、FDNYで初めてレスキュー隊が結成された。この当時、RESCUE1の管轄はニューヨーク市全域だった。 RESCUE2はその10年後の1925年3月1に組織され、さらにその6年後の1931年6月1日にRESCUE3と4が組織された。
RESCUE5は1948年5月16に組織されたが1962年6月1日に解散した。その22年後にあたる1984年8月20日に再び結成された。
1つのRESCUE隊は24〜28人の隊員で組織されている。出場指令があった場合は、隊長(Officer)を含んだ5人で出場する。各隊には、1人の隊長(Captain)と3人の副隊長(Lieutenant)がいるが、決して同じ場所・同じ時間で仕事をすることはない。命令系統の混乱を避けるための措置だ。シフト制により、この4人のいずれか1人が勤務する形をとっている。
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■Emergency
Responder
定義的に言うとEmergency Responderとは、911コール(アメリカの緊急コール番号)で出動する人員・部隊を指す。
警察・消防が含まれるため、ENGINE(ポンプ車隊)、LADDER(はしご車隊)、RESCUE(救助隊)、EMS(救急医療隊)なども含まれる。社会が複雑化し緊急コールの内容も多様化してきている中、あらゆる要求に迅速に対応するため出動する部隊の組織も細分化されている。
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■Electromagnetic
Wave
電磁波。電場と磁場が相伴って空間を波動として伝わるものをいう。
あらゆる電気製品から発せられている。近年では人体に悪影響を及ぼす恐れがあるとされ、各国で研究されている。電磁波が人体を通過する際に、放射線のようにDNAや染色体などを傷つける可能性があり、多量を浴びると遺伝障害などを引き起こすというものだ。まだ立証されていないが、多くの電気機器に囲まれ生活している現代人にとって、なんとも恐ろしい話である。
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■エンジニア
Engine Co.(ポンプ車隊)の構成員の1人。日本の機関員にあたる。ポンプ車の総責任者である。
平時においては車両の整備や管理を行い、火災出場時には現場までの運転と水を送り出す水圧の調整を担当する。現場に一刻でも早く到着できるよう、管轄区域のあらゆる道路や消火栓位置を頭に入れているという。火災現場では消火隊の要請を受け、的確な水圧を割り出し水を前線へ供給する。
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